「不便なシステムはコンテンツ力で乗り越える」Web3ゲームトップランナーが語る日本市場の未来像

Pacific Metaが、Web3ゲーム関連企業の交流イベント「Pacific Meta x Polygon Web3 Game Night」を開催。Web3ゲーム業界の有識者が登壇し、「日本におけるWeb3ゲーム」をテーマにパネルディスカッションを行った。

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不便なシステムはコンテンツ力で乗り越える…Web3ゲームトップランナーが語る日本市場の未来像

2023年6月20日、Web3領域における戦略コンサルティング、マーケティング支援を国内外で行うPacific Metaが、Web3ゲーム関連企業の交流イベント「Pacific Meta x Polygon Web3 Game Night」を開催。スクウェア・エニックス 元代表取締役社長の和田洋一氏がゲストスピーカーとして登壇したほか、Web3ゲーム業界の有識者が登壇し、「日本におけるWeb3ゲーム」をテーマにパネルディスカッションを行った。この記事ではパネルディスカッションの中から特に注目すべき内容を紹介する。

パネルディスカッション「日本におけるWeb3ゲーム」

登壇者

  • Polygon Labs 日本BD責任者 ビール・ヨリコ氏

  • Astar Network ファウンダー 渡辺 創太氏

  • Chainlink BD ショーン・チャン氏

  • コインムスメ-CoinMusme- プロデューサー 辻拓也氏

  • Helika BD責任者 デヴォン・サン氏

モデレーター

  • Pacific Meta グローバルBD責任者 邵 鴻成氏

左からビール・ヨリコ氏、渡辺 創太氏、ショーン・チャン氏、デヴォン・サン氏、辻拓也氏

ディスカッションでははじめに、「Web3ゲーム業界において、日本は市場として、あるいはプロデューサー(生産国)としてどのような役割を果たすか」というテーマが示された。

Polygon Labsのビール氏によれば、Polygonはこれまで日本の多くのゲーム企業との協業を行ってきており、同日にはドリコムとチューリンガムが共同で開発するブロックチェーンゲーム『Eternal Crypt -Wizardry BC-』がPolygonブロックチェーンを採用することも発表された。ビール氏は、世界中のゲームユーザーが日本のゲームについて思い出を持っていて、日本のゲーム企業が面白いものを作ってくれると期待しているとしたうえで、「プロデューサーとして、日本のゲーム企業は重要な役割を果たしてきた。既存IPでも新規IPでも、新しくて面白い体験を創り出していくと思う」と述べた。

また市場としては、Web3領域において「Japan is back, again」とする提言が自民党のweb3プロジェクトチームから発されたことにも触れ、アジアは今Web3市場として非常に盛り上がっており、日本は重要な役割を果たすだろう、と期待を述べた。

Asterの渡辺氏は、米国において暗号資産規制が進み、市場としてはより厳しい環境に変わりつつある一方、中国では香港での規制が緩和されたことに加え、日本はWeb3に関する国家戦略を推進しており、「クリプトは止められない」状況にあると分析。「今、日本では大企業を中心にWeb3への関心が高まっている。Web2で敗北した日本にとって、Web3はチャンス。ユーザーの態度を変容させるようなユースケースを作っていくという意味で、今後2~3年は日本の企業にとって非常に重要」と述べた。

また、「日本のWeb3ゲーム業界にどのように貢献していくか?」という問いについて、渡辺氏は「ゲーム領域を特に得意としているというわけではないが、起業家として、大企業や政府との対話ができるという自負があるため、若者を代表するグローバルリーダーとなって、Web3領域に関心をもつ多数の若者の手助けをしていきたい」と語った。

パネルディスカッションの後半で、Web3ゲームのマスアダプションを実現するためには何が重要かと問われたコインムスメ プロデューサーの辻氏は、「ウォレットなどの周辺システムの改善も重要だが、圧倒的に『プレイしたい』と思わせる、『STEPN』のような体験を伴うコンテンツやコミュニティが必須。そういったコンテンツだけが、ユーザーにウォレットなどの不便な要素を飛び越えさせるのだと思う」と、ゲームプロデューサーの立場からコンテンツ自体の魅力の重要性を強調した。

不便なシステムはコンテンツ力で乗り越える…Web3ゲームトップランナーが語る日本市場の未来像

《GameBusiness.jp》