【WebX】大手ゲームメーカーはどうWeb3に取り組むか、セガ・コナミ・クルーズの上場3社が語る

WebX 2023の2日目に「上場ゲーム会社から見るWeb3の可能性」と題して上場しているゲームメーカーである、コナミデジタルエンタテインメント、セガ、クルーズの3社の対談が行われました。

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【WebX】大手ゲームメーカーはどうWeb3に取り組むか、セガ・コナミ・クルーズの上場3社が語る
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WebX 2023の2日目に「上場ゲーム会社から見るWeb3の可能性」と題して上場しているゲームメーカーである、コナミデジタルエンタテインメント、セガ、クルーズの3社の対談が行われました。

登壇したのは株式会社コナミデジタルエンタテインメント web3事業部長の金友建氏、株式会社セガ 代表取締役副社長の内海州史氏、CROOZ Blockchain Lab株式会社 代表取締役の古瀬祥一氏の3名、司会は株式会社GameWith NFTの取締役である大嶋裕也氏が務めました。

徐々に環境整備が進みつつあるとはいえ、ブロックチェーンに上場会社が取り組むのは簡単な事ではありません。特に大きなブランドを背負った伝統的なゲームメーカーでは二の足を踏む場合が殆どです。そんな中で、Web3に対する取り組みを進める3社の話を聞こうと会場には多くの人が詰めかけました。

ゲームメーカーがWeb3に感じる可能性とは?

まずは各社がどのような可能性を感じているか、という話題から入りました。

ソニー在籍時代にプレイステーションの立ち上げでゲーム業界に入ったというセガの内海氏は「技術の進歩とともに業界が変容する」のを何度も見てきたと語ります。「少し前だとフィーチャーフォンからスマートフォンという変化もありました。ですからWeb3も新たなビジネスモデルをもたらす、これまでのモデルに取って代わるのではなく、補完していくようなイメージを持っています」。セガは様々なIPを持っていますが、現在のところWeb3で大きなチームを組成しているわけではなく、投資や外部パートナーとの提携をメインに考えているようです(例えばdouble.jump tokyoに『三国志大戦』をライセンスしている)。

一方のコナミの金友氏は全社横断の組織を立ち上げたと話し、内海氏と同様に技術の進歩がゲーム市場を拡大してきた歴史に触れました。「コンソールからモバイル主体になって、ゲームを触る人が格段に増えて市場が大きくなりました。今はコンソールもモバイルも盛り上がっています。その三段目がWeb3で、さらに伸びるのではないでしょうか」さらに、2つの方向性でゲーム体験をアップデートしたいと話しました。「Web3ならではのゲーム体験を作ること、同時に今までの世界観の中で、分断されていた体験をブロックチェーンを使って繋げていくこと、この2軸で考えています」

既に実際にゲームをリリースしているクルーズの古瀬氏は「ゲームに参加することが投資という側面を持つので、ユーザーと運営が同じ方向を向くコミュニティが作れます。ファンミーティングなどをやると、楽しくて仕方ありません」とコミュニティ作りの側面について触れました。コミュニティはこれまでのゲームにもありましたが、よりゲームにステークホルダーとして参加するという点が異なるのではないかと古瀬氏は話していました。

ブロックチェーンゲームはどんなビジネスになる?

続いてビジネスモデルの話に移っていきます。

クルーズの古瀬氏からはゲームに3種類のユーザーが参加することになるという話がありました。「『PROJECT XENO』は基本無料で遊べるんです。でも暫くすると楽しいからNFTを買うというユーザーが出てきます。それから投資してゲームでお金を稼ごうという人もいます。最後に転売目的で買う本当の投資家もいます」ただ、焦点を当てるのは最初のユーザーだそうです。

「なぜかというと全員儲かるというのは有り得ないんです。一部の人が儲かるのは、ヘビーにお金を使う方がいて、その収益の半分くらいをユーザーに返しているからです。なので、こういう普通のユーザーさんがいないとゲームが成り立たない、なので、そういう人たちが楽しめるようにゲームを運営しています」と古瀬氏は話しました。

セガの内海氏からは『FORTNITE』がナイキのシューズをゲーム内で売ったように、ファッショングッズを売るようなスタイルに可能性があるのではないかと述べました。また、ゲームを超えてデジタル世界を繋ぐような事に意味があるのではと指摘し、仮想空間同士を移動させるにはどうしたらいいかという議論も社内で行っている事を明かしました。これはゲームメーカーにとっては収益機会を減らし、ゲーム内市場のコントロールを難しくする懸念がありますが、ブロックチェーンゲームの可能性としては興味深いものです。

クルーズの古瀬氏もブロックチェーンゲームをリリースしてみて、顧客の資産価値を守るという事が非常に大きなテーマになったと述べました。「例えばジェネシスのNFTなどは無限に価値が上がるような設計にしたいと思いますし、トークンもゲームを超えてユースケースを作ってあちこちで使えるようにすると面白いと思います」

コナミの金友氏はデータの可能性を指摘しました。「ブロックチェーンは色々なものを記録するのが得意で、今まで見えてこなかったユーザーデータにアクセスできる可能性があります。それに合わせた対価の渡し方、これはお金かもしれないし、精神的な報酬かもしれませんが、今までできなかったことでリアルと仮想世界を繋げられると面白そうです」もっと幅広い「XX to Earn」が考えられそうです。

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各社手探りながら歩みを進めているようで、コナミはまだ具体的なプロジェクトに言及していませんが、金友氏は「ゲームはどうしてもスケジュール通りにはいきません。何も言えない時期が続いていて、本当は明日にでも言いたいのですが・・・」とかなり匂わせのコメントも。東京ゲームショウ付近には様々なプロジェクトが出てくるという情報も得ているようで「(他社から)キラーコンテンツが出てきてしまうのではないかと相当焦っている」というコメントもありました。

セガの内海氏からは「いま欧米の人たちはWeb3という言葉を毛嫌いしている」という話もあり、「Web3という言葉を使う時はとても気を使っている」と述べていました。ただ、メインストリームではなく、アーケード的なIPを活用する可能性は大いにあるとして、「ChinaJoyでも発表があるかもしれない」と気になるコメントを残していました。

いずれにせよ、日本のゲームメーカーからも本気のブロックチェーンゲームが登場するのは遠くない将来であると感じられるセッションでした。

《土本 学》

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土本 学

メディア大好き人間です 土本 学

新しいモノが好きで、色々なところに顔を出しています。直近はメディアやクリプトの業界を追っています。

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