メルカリは今年5月にグループを横断した生成AI/LLM専門チームを設置しました。その責任者で、執行役員 VP of Generative AI/LLMの石川佑樹氏がIVS2023のステージで同チームの取り組みについて紹介しました。
生成AI/LLM(大規模言語モデル)専任チームはミッションとして「新たなお客様体験の創出と事業インパクトの最大化」「全社の生産性の劇的な向上」という2つのミッションを掲げ、EnablingとBuildingを進めています。
Enablingという観点では生成AIやLLMをどう活用すべきかというガイドラインを策定。これにより機械学習チームだけでなく、一般のエンジニアもプロダクトに実装できる状態を目指しました。また、勉強会やハッカソンを開催して布教活動に努めているということです。
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具体的なプロダクト開発としては、メルカリ社員専用のChatGPTを作成したそうです。GPT-4の他、グーグルのLLMであるPaLMにも対応。独自のインターフェースを作る事で、業務情報を入れても問題ない環境を用意しました。
さらに本丸である既存プロダクトへの適用も幾つかの方向性で取り組んでいるようです。
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会場では、メルカリの検索画面のSEOを改善するため、タイトルをLLMで生成するという事例が紹介されました。検索画面はユーザー主導のため、キーワードに重複があったり、表記ゆれがあります。こうした点をLLMでタイトル生成することで補い、よりSEOにとって効果的なコンテンツを目指すということです。
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また、出品画面では、不足している情報や、売れやすい商品に共通している情報をAIが提案する機能が開発されているということです。例えば、購入時の価格を入れたり、ブランド名やキーワードを入れてもらうなどです。これまでもルールベースでは実装されていたものをLLMで推定する方法に変更したということです。
メルカリの事例は実践的で他の企業でも参考になりそうですね。