ビットコイン誕生から15年、米国で現物ETFが承認された歴史的な日に

ブロックチェーン技術を使ったデジタル通貨であるビットコインは、2007年にSatoshi Nakamotoを名乗る匿名の開発者によって提案され、実装が進められ、一緒に開発に携わったハル・フィニー氏が最初のビットコインを受け取ったのは年が明けて2008年1月11日のことでした。

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ビットコイン誕生から15年、米国で現物ETFが承認された歴史的な日に

ブロックチェーン技術を使ったデジタル通貨であるビットコインは、2007年にSatoshi Nakamotoを名乗る匿名の開発者によって提案され、実装が進められ、一緒に開発に携わったハル・フィニー氏が最初のビットコインを受け取ったのは年が明けて2008年1月11日のことでした。今からちょうど15年前になります。

その記念すべき日に、米国証券取引委員会(SEC)はビットコインの現物ETF(上場投資信託)の上場を承認しました。これまでビットコインは仮想通貨取引所(CEX)や分散型取引所(DEX)でしか取引できませんでしたが、ETFとして証券取引所に上場されることで、証券会社経由で投資が行えるようになります。これによって、証券市場にある膨大な投資マネーが仮想通貨に向かう事が期待されます。

ビットコインの現物ETFは、世界最大の運用資産を誇るブラックロックなど11の会社から申請されていたものが一斉に承認されていて、明日の米国時間から取引が開始されます。各社は手数料を削り、テレビCMを作成するなど積極的にマーケティングしていく方針です。

ビットコインETFを巡っては2018年から複数の上場申請がされてきましたが、SECは20件以上の申請を却下してきました。しかし昨年8月にグレースケールが却下された申請について提訴していた問題で、ワシントンのコロンビア特別区控訴裁判所はSECの却下理由は明確ではなく、上場承認を拒否する根拠に欠けると、再度審議を行うよう求めていました。SECのゲイリー・ゲンスラー委員長はビットコインETFの上場を伝える声明で、この判決が大きな転換点になったと認めています。

ただ、承認は3対2で通ったと伝えられるほか、声明でも「ビットコインは主に投機的で不安定な資産であり、ランサムウェア、マネーロンダリング、テロ資金供与、制裁回避などにも使用されている事に注意して欲しい」と釘を刺しています。主にこうした理由でETFは却下されてきたわけですが、今回の承認は、昨年末のバイナンスとの司法省の和解や、各種規制の整備など、仮想通貨を巡る状況が、主流の金融システムの中で認められてきた左証と言えるでしょう。

ハル・フィニー氏の2008年のツイート。PGP暗号の開発にも携わった氏はSatoshi Nakamotoの有力な候補とも言われるが既に故人

ビットコインとブロックチェーンはSatoshi Nakamotoという日本風のニックネームを使った匿名の開発者によって、特定の管理者に依存しない、自律分散型のネットワークによって成立するデジタル通貨として生み出されました。まさにこうした性質から国家の管理から逃れたいプレイヤーから利用されてきたのも事実ですが、その性質からギーク達によって日進月歩に進化を続けていて、デジタル通貨という事に留まらず、金融システムであり、インターネットにおける価値保存機能であり、様々なアプリケーションやゲームの基盤となってきました。一個人によって作れられて、コミュニティによって発展してきた技術が、ニューヨーク証券取引所に上場するアセットになったというのは当に歴史的な出来事であると思います。

ETFへの期待から昨年後半からビットコインを始めとする仮想通貨の時価総額は大幅に上昇してきました。ビットコインも過去最高値まであと僅かまで迫ってきました。今年はビットコインの半減期もあります(マイニングの排出量が削減され、売り圧低下に繋がると見られる)。こうした良い環境はブロックチェーンゲームにとっても良い影響があります。大きくなる投資資金の一部を取り込むのが容易になるからです。トークンの発行を控えているプロジェクトも続々とスタートを切っていくものと見られます。

ちょうど日本でもブロックチェーンゲームのリリースが増えてきて、今年は大手メーカーからの作品も増加しそうです。ここでも、引き続き最新の情報をお伝えしていければと思います。

《土本 学》

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メディア大好き人間です 土本 学

新しいモノが好きで、色々なところに顔を出しています。直近はメディアやクリプトの業界を追っています。

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