【IVS2023京都】バイナンス、ビットフライヤー、ビットバンク、メルカリ、国内の取引所が語る仮想通貨のこれから

IVS2023京都の2日目、クリプトステージで「トップランナーと議論する、暗号資産取引所の現在地と未来」が開催されました。

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IVS2023京都の2日目、クリプトステージで「トップランナーと議論する、暗号資産取引所の現在地と未来」が開催されました。

セッションでは株式会社bitFlyer Holdings代表取締役CEOの加納裕三氏、ビットバンク株式会社代表取締役社長CEOの廣末紀之氏、バイナンス日本代表の千野剛司氏、株式会社メルコイン代表取締役CEOの中村奎太氏が登壇しました。老舗から新規参入組まで注目のプレイヤーが勢ぞろいということで、熱気に包まれたステージとなりました。

日本市場はこれからどうなっていくのか

世界的にCrypto Winterと言われ、米国ではSECの規制強化や取引所との対立が連日報じられている状況ですが、これからの日本市場はどうなっていくのかという議論からスタートしました。

「CZ(※)も日本には相当期待している」と言うのはバイナンス日本代表の千野氏です。世界最大の取引所であるバイナンスは世界各国でライセンスを取得する事を目指していて、日本ではサクラエクスチェンジビットコインを買収して今夏にリブランディングする予定です。「より持続可能な形で成長するには、規制当局との対話が不可欠ですが、日本は2017年に既に法律を整えていて、その後の荒波を乗り越えて今があり、持続的な成長をするための環境が整っています」と千野氏は述べました。

※CZ バイナンス創業者のチャンポン・ジャオ氏の愛称

バイナンス千野氏(右)、ビットバンク廣末氏(左)

bitFlyer HoldingのCEOに4年ぶりの復帰を果たした加納氏は「ETFが承認されれば物凄い事になる」と語ります。「クリプトは300兆円程度ですが、株式は1京円の市場で圧倒的な差があります。ETFが承認されれば、この市場が繋がり、証券会社が扱えるようになります。さらに現物なので、現物が買われるという効果もあります」(加納氏) 現にブラックロックなどのビットコインETFの申請が報じられる度に市況が好転していて、いよいよETFの承認されるのではないかと期待が高まっています。

bitFlyer加納氏(右)、メルコイン中村氏(左)

Bitbankの廣末氏は、いち早く厳しい規制が敷かれ、苦難の道のりがあったと振り返りながら、FTXの破綻から日本市場が免れて、規制当局も攻めの姿勢になってきていると述べました。「アメリカが規制をして、ヨーロッパも引き続き厳しい、日本は相対的に良い状態になってきています。日本にお金が集まってきていて、ステーブルコインが導入されるなど規制当局の動きも出てきました。今後はとても強気に考えています」

メルカリがクリプトユーザーを圧倒的に増やす?

メルコインの中村氏はクリプトをやるためにメルカリに新卒入社したものの、コインチェック事件の後に参入の道が閉ざされ辛い時間を過ごしてきたと回顧しながら「先輩方のお陰で物事が前に進み、規制も整理され、やっと参入ができました」と述べます。メルカリのウォレットでビットコインが利用できるようになり、既に50万人が利用しているそうです。特筆すべきは、その8割が、今まで仮想通貨に触れて来なかったユーザーだということです。新しいユーザーを巻き込む事で市場拡大が期待されます。

ビットフライヤーの加納氏もメルカリのチャレンジを歓迎し、「金融機関の本人確認コストは非常に重く、取引所ではライトユーザーを獲得するのが難しいのですが、メルペイと本人確認を共有できるメルカリは既存の取引所にはできないモデルを実現しています」とその意義を述べました。加納氏によれば、本人確認からオンボードまでは広告費を抜いても1万円はかかり、その回収のためにはライトなユーザーでは難しいという構図にあるということです。

メルコインは頻繁に取引を行うというよりは、決済でビットコインを使ってもらうという側面が強いということで、各社からはメルコインで仮想通貨に触れて、本格的な取引では別の取引所を使うような事があるのではないかという期待も示されました。

これから取引所はどうなっていくか

世界的に岐路にある仮想通貨取引所ですが日本のプレイヤーはどのように考えているのでしょうか?

これから参入となるバイナンスの千野氏は「規制やコンプライアンス重視、法令遵守でやっていく」と強調。強みとしては「取り扱いトークン数は日本最大にしたい」と意気込みを語りました(現在はBitbankの30種類が最大)。「6月に法律が改正されるステーブルコインもバイナンスはやっていきたい」という気になる発言も。グローバルでは膨大な数のトークンを扱っていますが、日本の規制の中で、どのようなトークンが扱えるのか注目されます。

Bitbankの廣末氏は「ビットフライヤーやバイナンスに負けたくないと思っています」とライバル心を覗かせる一方、「B2Bのサービスにも関心があり、三井住友トラストとカストディの日本デジタルアセットトラスト(JADAT)を設立して準備中です。非金融分野も取り組めればいいなと思っています」としました。

久々に復帰したビットフライヤー加納氏は「今は守りを固めているが一気に攻めるタイミングが来る」としました。他社のアプリの全画面を並べて研究しているといい、「ビットフライヤーのUI/UXを全面刷新します」と宣言。

さらに今後のクリプトで最重要なのはウォレットで、10年~15年でDAOの世界になると指摘した上で「我々のような取引所はオワコンです。もちろんAML、CFT、マネロン、顧客保護は必要です。ただCEX(中央集権的な取引所)である必要はない、でもDEX(分散型取引所)は微妙、そこで大事なのはウォレットで・・・この先は社員にしか言えないので、転職お待ちしています(笑)」と会場に呼びかけていました。

◆ ◆ ◆

豪華なメンバーによる議論でぶっちゃけトークも炸裂して笑いもありの楽しいステージとなりましたが、共通した見解は「日本にチャンスあり」ということ。先行して規制を行い、環境を整えた日本が、再度ブロックチェーンの中核を担う、その代表的なプレイヤーを目指すという意気込みも感じられるステージとなりました。

《土本 学》

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土本 学

メディア大好き人間です 土本 学

新しいモノが好きで、色々なところに顔を出しています。直近はメディアやクリプトの業界を追っています。

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